日本医療機能評価機構は、医療の質に関する日本の公益財団法人です。中立的な立場で、医療機関の機能を評価し、問題点の改善を促す第三者組織といってよいでしょう。同機構が実施しているのが病院機能評価です。この記事では、病院機能評価の基本概要やメリット、影響、評価項目について解説します。ぜひ、参考にしてください。
病院機能評価の基本概要
病院機能評価とは、病院の質の向上を目指して実施している審査制度です。審査をおこなう日本医療機能評価機構は、1995年に設立された公益財団法人であり、医療機関の第三者評価の実施や、病院の質の改善支援を目的としており、1997年から始まった取り組みです。
病院で提供される診療やケアについて評価を実施し、病院全体の運営や管理体制を客観的にチェックします。もちろん、適切な医療を提供しているかについても判断します。評価カテゴリーは、1領域・2領域・3領域・4領域の4つに区分され、それぞれの項目にもとづきチェックされます。
1領域では、患者の安全確保や倫理面の問題に対する病院の対応や意思決定などについて評価します。2領域では、病棟での患者への診療やケアの実践状況を確認します。
3領域では、各部門・各部署の機能が十分に発揮できているか、どういった取り組みをしているかなどについてチェックします。4領域では、病院経営の基盤となる組織運営・管理状況などについて見ています。認定病院は、医療の質を向上させるべく、日夜努力している医院と考えてよいでしょう。
2013年4月以降、病院の機能を適切に評価し、医療の質の改善支援をおこなうため、病院の特性に応じた機能種別版評価項目を導入しました。さらに、2023年4月からは、医療環境や社会の変化、医療機関のニーズに対応するため新しい評価の運用を開始しました。
これにより、病院機能を評価する体制がさらに整えられたといってよいでしょう。同評価は、時代とともに進化することで、国民の医療に対する信頼確保に役立っています。今後も、医療の質の改善に大きな役割を果たしていくでしょう。
病院機能評価認定のメリットとその影響
病院機能評価認定を受けると、2つのメリットがあります。
病院全体の意識向上が図れること
評価を受ける過程で、病院は自らの問題点と向き合うことになります。準備段階から、現状を詳細に分析し、客観的な視点から改善点を洗い出す作業が始まります。準備作業は、病院全体にとって、改善への意識を高め、組織的な取り組みを促進する貴重な機会となります。
今まで見過ごされていた課題や潜在的な問題点も明確化されることで、より効果的な改善策を講じることができるでしょう。プロセスを通して、職員一人ひとりが病院の現状や課題を共有することで、組織全体に改善に向けた意識が浸透し、自主的に行動することも期待できます。
患者からの信頼を獲得できること
また、認定を取得することで、患者からの信頼獲得にも繋がります。認定証は、病院が一定水準以上の医療を提供していることの証となり、患者にとって病院選びの重要な指標となるからです。信頼できる医療機関を求める患者のニーズが高まっていることを考えると、同認定を受けることは、他の医療機関との差別化を図れるため、大きなメリットといえます。
つまり、認定を受けることは、病院の医療の質を向上させ、患者の信頼を得る絶好の機会となります。取得に向けた活動は、問題点の洗い出しにもつながるため、病院全体に良い影響をもたらすでしょう。
遠隔画像診断サービスにおける評価項目とは
病院機能評価認定の評価項目は、病院の機能ごとに設定された「大項目」の下に、具体的な評価対象となる「中項目」が配置される構造となっています。各病院が90項目前後ある「中項目」それぞれについて、さまざまな角度から評価が行われます。
「評価の視点」と「評価の要素」が重要な役割を果たします。評価者は単に現状を見るだけでなく、「評価の視点」を通して病院の活動の意図や背景を理解し、「評価の要素」を参考にしながら、病院の取り組みが適切かどうかを判断します。訪問審査時の状況だけでなく、日頃からの改善努力や社会情勢なども加味し、総合的な評価を下します。
4段階評価で、優れた取り組みには「S」、適切な状態には「A」、一部課題はあるものの一定の水準を満たしている場合は「B」が与えられます。そして、「C」は、一定の水準に達していないと判断された場合に付与されます。「C」項目には、日本医療機能評価機構から改善要望事項が出され、病院に対して速やかな改善が求められます。すべての「中項目」で「B」以上を獲得することが、認定を受けるための条件となります。
まとめ
今回は、病院機能評価について紹介しました。この評価は、医療機関の質の向上を目的とした第三者評価制度です。認定取得により病院全体の意識向上、患者からの信頼獲得といったメリットがあります。認定されるには、約90項目の「中項目」に対する評価において、「B」以上を取得する必要があります。「C」項目がある場合は、改善が求められるため、医療機関の質の向上に役立っています。