
遠隔画像診断サービスとは、その場にいない専門医がインターネットを使ってCTやMRIといった医療画像を診断するシステムです。インターネット経由で画像データが送られるため、専門医のいる場所から離れた場所にある医療機関からでも専門医に診断を依頼できます。今回は、遠隔画像診断サービスの料金や相場、料金内訳を紹介します。
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導入前に気になる「費用」について
遠隔画像診断の導入を検討するうえで、多くの医療機関が最初に気にされるのが「費用はどれくらいかかるのか」という点です。院内に常勤の放射線科医がいないケースや、夜間・休日の診断体制を整えたい施設では、外部の遠隔画像診断サービスを利用することで、診療体制の質を保つことができます。ただし、初期費用や運用コストについて不安を感じていらっしゃる方も少なくありません。
費用の構成とその考え方
遠隔画像診断にかかる費用は、提供会社や契約内容によって異なりますが、一般的には「初期費用」「読影費用」「レポート作成費用」「時間外対応の加算」などが主な要素となります。たとえば、CTやMRIといったモダリティの種類、撮影されたスライス数、読影する部位の数などによっても費用が変動する場合があります。また、診断結果の返却時間が短い、あるいは夜間対応が可能といったサービスを選ぶと、その分費用が加算されることもあります。
こうした費用構造をあらかじめ把握しておくことで、予算に見合ったサービスの選定がしやすくなります。
遠隔画像診断サービスの料金相場とは?
初期導入費用
これらの料金に加えて、初期導入費用が発生する場合があります。これはインターネット環境やPCなど、必要な機材がすでに揃っている場合は不要となる場合もあります。しかし、必要であれば5万円から40万円程度かかることが多いようです。
月額基本料金
まず、システムの維持費として月額基本料金が発生します。こちらはサービスを提供する企業や契約内容によって異なりますが、一般的には1〜5万円程度が相場です。
読影料金
次に、実際に読影を依頼するごとに発生するのが読影料金です。こちらは画像の種類や部位、読影の難易度などによって異なり、例えばX線読影であれば1枚あたり500円から、CTやMRIなどの場合は1件あたり2,000円からが目安となります。
レポート作成費用
遠隔画像診断では、読影結果をレポートとして提出する工程が含まれます。医師の専門的な知見と時間を要するため、読影費用とは別に1件あたり500円〜1,500円程度のレポート作成費が発生することがあります。施設ごとにレポートの形式や記載内容が異なるため、カスタマイズの有無により費用が上下することもあります。導入前には、書式や納品形式も含めて確認することが大切です。
時間外対応にかかる費用
夜間・休日の緊急読影依頼では、通常の料金に加えて1件あたり1,000円〜3,000円程度の時間外加算がかかることがあります。救急対応や24時間体制を必要とする医療機関では、このような対応体制と加算の有無が重要な選定ポイントとなります。時間帯や緊急性によっても料金は異なるため、対応可能な範囲と費用については事前に提供会社に確認しておくと安心です。
料金内訳:サービス内容に応じたコストの考え方
遠隔画像診断サービスの料金は、初期費用とランニングコストに分けられます。
初期費用
初期費用は、遠隔画像診断サービスを受けるための環境整備に必要な費用です。システム導入費やネットワークの設定費、機器の購入費などが含まれます。それ以外にも、院内システムとの連携により費用が変動します。たとえば、院内PACS(医療用画像管理システム)と接続させる場合やレポート連携、自動依頼連携を行う際にコストがかかるでしょう。
ランニングコスト
サービス利用中のランニングコストについても考えなければなりません。ランニングコストは、オンプレミス型とクラウド型で異なります。
オンプレミス型とは、院内にサーバーや通信回線といったシステムをつくりあげ、自院で運用を行う形態のことです。オンプレミス型には、顧客の要望に合わせてカスタマイズしやすいというメリットがあります。しかし、クラウド型に比べてコストが高くなることが多いです。
一方、クラウド型は、撮影した画像をクラウドに送る仕組みであるため、院内ではシステム構築を行いません。そのため、初期費用やランニングコストを大きく抑えることが可能です。
また、ランニングコストの一部として、読影費用や部位加算、スライス加算、時間外対応料金などを把握しなければなりません。読影費用は、画像診断1件ごとの料金です。CTやMRIなど検査機器の違いによって料金がかわる場合と、一律で設定している場合があります。
部位加算とは、特定の部位の読影を行う際に加算される料金で、1部位ごとに1,000〜3,000円が目安となります。スライス加算とは、読影する画像の枚数が一定枚数を超えた際に加算される料金です。緊急対応や時間外対応を依頼する場合、1件当たり500円程度の追加料金が発生することがあります。これらの費用をすべて含めて、ランニングコストを計算しなければなりません。
コストを最適化するためのポイント
遠隔画像診断支援サービスのコストを抑えつつ最適化を図るには、いくつかポイントがあります。
まず複数の業者から見積もりを取得し、自院のニーズに合致したサービス内容と価格のバランスが取れた業者を選ぶ必要があります。自院のニーズに完全にあっていなくても、価格差とサービス内容を比較検討し、費用対効果の高い方を選択することが大切です。
また、不要なサービスを削ぎ落とすことも効果的です。24時間対応や緊急読影など、施設の運用状況に合わせて本当に必要なオプションを見極め、サービス内容を必要最低限に絞り込むことで費用対効果を最大化できます。しかし、コストばかりを重視するのはリスクがあります。いかに費用が安くても、サービスの質が期待以下であれば、結果的に無駄なコストになってしまう可能性があるからです。緊急対応ができないサービスを選択してしまうと、休日や夜間の対応が困難になり、読影医を新規で雇う必要が出てしまいます。
また、読影の精度が低くサービスの質が低いと、最悪の場合、医療ミスにつながる恐れがあります。ひとたび医療ミスが発生すれば、コスト削減のメリットを大きく上回る損失となるでしょう。
重要なのは、費用対効果が高いサービスを選択することです。遠隔画像診断サービスを利用する際は、WEBサイトからの情報収集だけではなく、サービスを扱っている事業者から直接情報を得る必要があります。
まとめ
遠隔画像診断サービスの料金は、月額基本料金と読影料金、初期導入費用から成ります。月額基本料金は、1〜5万円程度です。一方初期導入費用は環境によって異なり、5〜40万円程度かかる場合があります。また、コストを最適化するには複数の業者から見積もりを取り、自院のニーズに合ったサービス内容と価格のバランスが取れた業者を選ぶことが重要です。費用を抑えるために不要なサービスを削ぎ落とすことも有効ですが、サービスの質を犠牲にすることは避けるべきでしょう。
お試し導入で、納得のいくサービス選定を
初めて遠隔画像診断を導入する医療機関にとって、実際に使ってみないと分からないという不安は大きいものです。そうした不安を解消するために、無料や割引価格で利用できる「お試しプラン」を用意しているサービスもあります。
短期間のトライアルであれば、画像データの送信からレポートの受け取り、操作性やサポート体制などを実際に体感することができます。コストをかけずに使用感を確かめられるため、導入前の判断材料として非常に有効です。
当サイトで紹介しているエスフィルは、お試し利用が可能な遠隔画像診断サービスについてのご紹介が可能です。ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。