「遠隔読影」は、近年注目を浴びているサービスです。しかし「遠隔読影とはそもそも何なのか」「遠隔画像診断との違いはあるのか」といった疑問を持つ人もいることでしょう。そこで本記事では、遠隔読影と遠隔画像診断の違いを解説するとともに、遠隔読影のメリット・デメリットも詳しく紹介します。
遠隔読影と遠隔画像診断の違い
遠隔読影とは、病院やクリニックで撮影されたCTやMRIなどの医療画像を、ネットワークを通じて遠方の読影医に送信し、診断を行ってもらう仕組みを指します。送信には遠隔読影専用サーバーやPACS(医療用画像管理システム)が利用され、読影医は診断結果を報告書として返送します。
情報漏洩防止の観点から、送受信時にはVPNなどによる暗号化通信が必須であり、端末内にデータを残さないシステム設計が必要です。従来の「読影」との違いは、読影医が医療機関内に常勤しているかどうかです。通常の読影は病院に在籍する医師が行いますが、遠隔読影では医師が遠隔地にいても診断を依頼できます。
また「遠隔画像診断」との違いも明確です。遠隔画像診断は、受診・送信側の病院が厚生局に届出を行い、保険診療として行われるため、画像診断管理加算の算定が可能です。しかし、遠隔読影は企業やNPO法人などの提供するサービスを利用する形となり、厚生局への届け出は必要ありません。しかし、保険診療として認められないため、画像診断管理加算の算定はできません。
遠隔読影のメリット
遠隔読影は、医療機関における診断業務の効率化や医療の質向上に大きく寄与するサービスであり、主に5つのメリットがあります。
読影医不足の解消
第一に、読影医不足の解消です。特に地方の小規模病院や診療所では、画像診断を行える専門医が常勤していない場合があり、検査数の増加により既存の読影医の負担が増大することも少なくありません。遠隔読影を活用することで、遠方の専門医に診断を依頼できるため、こうした医師不足の課題を緩和できます。
適切な診断の実現
第二に、適切な診断の実現です。都市部の大規模病院には多数の画像診断専門医が在籍していますが、地方では専門知識を持つ医師が限られる場合があります。主治医や外科医が画像を確認することは可能でも、専門的判断が必要なケースでは正確な診断が難しいことがあります。遠隔読影を導入すれば、専門医の意見を迅速に得られるため、診断の精度を高めることが可能です。また、地域医療の質向上にもつながります。
病院機能評価への活用
第三に、病院機能評価への活用です。公益財団法人日本医療機能評価機構が行う病院機能評価では、組織運営や医療提供の質が審査されます。遠隔読影の活用は、この評価の画像診断(放射線)部門で評価対象となり、認定病院として安全で信頼性の高い医療を提供していることを示す一助となります。
検査装置の稼働率向上
第四に、検査装置の稼働率向上です。従来、読影医が不足していたり業務が滞ったりすることで検査の実施が躊躇される場合もありましたが、遠隔読影を利用することで安定的に検査を実施できます。その結果、今まで十分に稼働できなかった装置の利用率を向上させることが可能です。
診療時間の短縮
最後に、診療時間の短縮です。遠隔読影では、異常所見の有無や緊急性、医師サポートの必要性などを含むレポートがまとめて提供されるため、医師は画像を個別に確認する手間を省くことができます。これにより、診療業務の効率化が進み、医師はより迅速に診療に専念できるようになります。
遠隔読影のデメリット
遠隔読影には利便性や効率化といったメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
ランニングコストがかかる
第一のデメリットはランニングコストがかかる点です。遠隔読影サービスを利用する場合、基本料金に加えて読影料金が月々の費用として発生します。料金体系は依頼先の企業によって異なるため、自社に最適なサービスを選ぶには複数の業者から見積もりを取り、比較・検討することが重要です。コスト面を十分に把握せずに導入すると、予想以上の負担となる可能性があります。
画像診断管理加算を算定できない
第二のデメリットは、遠隔読影では画像診断管理加算を算定できないことです。これは保険診療上の加算制度に関連しており、遠隔読影を企業やNPO法人などに依頼する場合には診療報酬上の加算が認められないため、経済的なメリットが制限されます。
しかし、活用方法を工夫すればデメリットを最小化することも可能です。例えば、健診の画像診断支援サービスのように診療報酬の算定とは関係ない業務に遠隔読影を利用することで、報酬加算の有無を気にせずに業務負担の軽減を図ることができます。
まとめ
近年注目を集める「遠隔読影」は、病院やクリニックで撮影されたCTやMRIなどの画像を、遠隔地の専門医に送信して診断してもらうサービスです。これにより、地方や小規模医療機関でも専門医による正確な診断が可能となり、読影医不足の解消や診療時間の短縮、検査装置の稼働率向上、病院機能評価の活用など多くのメリットがあります。一方で、月々のランニングコストがかかることや、保険診療上の画像診断管理加算を算定できない点がデメリットです。しかし、健診など報酬加算に関係ない業務に活用すれば、業務効率化や医師負担軽減といった効果を最大限に享受でき、医療現場の質と効率を高める有効な手段として期待されています。